家族(友人)がギャンブル依存になったら、本人のためにできることは「ギャンブル依存の回復の場」へつなげることです。本人のためによかれと思ってすることが、かえって逆効果になることがあります。次のことに注意してください。
ローン会社などに返済をすると、また新たに借金をすることが可能になります。それが、安心してギャンブルや借金ができる状況を作ってしまうことになります。周囲にすれば信じられないかもしれませんが、本人の中では、手持ちのお金=ギャンブルの軍資金(お金があればギャンブルをする、なければ借りる)という思考回路ができているため、こうした悪循環が起きるのです。
本人が心の底から納得して「やめよう」と思えるようになるのは、多くの場合、ギャンブル依存の回復につながってからです。無理にやめさせようとすると、かえって本人の反発を強め、かたくなになります。まずは「やめるさせる」のではなく、本人を回復の場につなげいくこと――。実際にギャンブルをやめている人と出逢うことから、本人の「やめる」が始まっていきます。
「ギャンブルを二度としない」と約束させたり、誓約書を書かせたりすることは、一見効果があるように感じますが、多くの場合、守られることはありません。ギャンブルへの依存があると、その場を取りつくろうだけの守れない約束になってしまうからです。家族(友人)にとっても「信じていたのに裏切られた」と傷つく体験になります。約束や決心、愛情や「誰かのために」という思いでは、やめられないのがギャンブル依存という病気なのです。
ギャンブルのこと、お金のこと、ひとりで悩まないでください。ギャンブル問題の影響を受けた家族・友人のための自助グループ(ギャマノン)、精神保健福祉センターなどの専門機関や、私たちK-GAP『かわさきギャンブラーズ アディクションポート』にご相談ください。
K-GAPでは、ギャンブル依存の回復者、精神保健福祉士がご相談にのります。ギャンブル依存の本人がかたくなに問題を認めようとせず、問題意識に家族との間に深刻なへだたりがあるような場合などは、出張相談で本人を交えた介入も行ないます。まずは本人に問題を理解してもらうことを目指しましょう。
ギャンブル依存者は病気の進行とともに、ギャンブルをすることが第一優先になっていくので、嘘をついて友人や家族からお金をかすめとることから、職場での横領や不正、詐欺のような大きな犯罪まで、ありとあらゆる形で資金調達をするようになってしまいます。それが一回でも成功してしまうと、やめられなくなる傾向があるからです。資金調達への依存が進行すると、周りの人達をキャッシュディスペンサーの様に捉えるようになっていき、次第に健康的な心が失われていきます。
ギャンブル依存とは=資金調達への依存 とも言え、二つの依存は同時に進行していく様になります。
けれども問題意識をもてないのが依存症の特徴でもあるため、ギャンブル依存本人の方が自ら相談に来ることはあまりありません。そのため最初の相談者のほとんどは、家族(友人)です。
借金とギャンブルの悪循環をとめるため、まずは周囲が相談をして、このギャンブル依存という病気について理解し、対応を変えていくことが大切です。
K-GAPは、ギャンブル依存の進行をとめ、回復するための場です。
ギャンブル依存症はWHOでも認められた疾患の一つであると同時に、進行性の病であり、回復のためには、適切な援助や同じような経験を持つギャンブル依存の仲間の協力が欠かせません。K-GAPで実際にギャンブルをやめている仲間をと知り合い、仲間を大切にし、また大切にされることによって、自分の人生や家族を大切にする思いも感じられるようになっていきます。
家族(友人)が抱えていた苦しみは、K-GAPに預けてください。そしてご家族(友人)も支援を受けて、ギャンブルや借金の問題にふり回されることのない、安心で穏やかな人生を味わってください。